
建物は日々、雨風や湿気などの影響を受けています。建物の美観を保ちながら、長持ちさせるためには「塗装」と「防水工事」の両方が欠かせません。塗装は、建物の外観を美しく仕上げるだけでなく、外壁や屋根を紫外線や風雨から守り、耐久性を向上させます。適切な塗料を選ぶことで、建物の寿命を延ばすだけでなく、メンテナンスの頻度を抑えることができます。
一方で、防水工事は、雨水や湿気の侵入を防ぎ、建物内部の劣化や腐食を防止する重要な役割を担います。特に屋上やベランダ、外壁など、水が溜まりやすい部分には防水対策が必須です。
ここでは、塗装工事と防水工事を実施する際に意識すべきポイントを紹介します。
塗装工事のポイント
外壁の状態をチェックする
外壁の汚れやひび割れ、カビやコケの発生などは塗装の仕上がりや耐久性に影響を与えるため、事前に状態を確認し、必要に応じて補修や清掃を行う必要があります。
特に、下地が傷んでいる場合は、塗料を塗るだけでは問題が解決せず、短期間で再度の工事が必要になることもあります。
塗料の種類を理解しておく
塗装工事に使われる塗料にはいくつかの種類があり、目的に合わせて使い分けることが重要です。以下では、代表的な塗料を8つ紹介します。
塗料の種類 | 目安耐久年数 | 特徴 |
アクリル | 5~8年 | ・アクリル樹脂を主成分とした塗料で、耐候性や耐久性に優れている ・発色が良く、仕上がりが鮮やか ・乾燥が速く、施工効率が高い ・価格が比較的安価でコストパフォーマンスが良い ・ウレタン塗料やシリコン塗料に比べると耐久性がやや劣る |
ウレタン | 7~10年 | ・ウレタン樹脂を主成分とした塗料で、耐久性や柔軟性に優れている 密着性が高く、複雑な形状の部材にも適応しやすい シリコン塗料やフッ素塗料と比較すると耐候性がやや劣る |
シリコン | 10~13年 | ・シリコン樹脂を主成分とした塗料で、耐候性や耐久性、耐熱性、防水性に優れている ・汚れが付着しにくく、雨で汚れを洗い流す「セルフクリーニング効果」があるため、見た目の美しさを長く保てる ・コストパフォーマンスが高い ・フッ素塗料や無機塗料に比べると耐久年数が短めな場合もある |
ピュアアクリル | 13~15年 | ・アクリル樹脂を100%使用した高品質な塗料で、耐候性や耐久性に優れている ・柔軟性が高く、下地が動いた際にもひび割れが起きにくいため、施工後のトラブルが少ない ・汚れが付着しにくい親水性を持ち、セルフクリーニング効果で外壁を清潔に保てる ・他の高性能塗料と比べると価格がやや高め |
フッ素 | 13~15年 | ・フッ素樹脂を主成分とした塗料で、耐久性、耐候性、耐薬品性に優れている ・紫外線や雨風、熱、寒冷などの厳しい環境条件に対する耐性が非常に高く、長期間にわたって劣化を防ぐ ・汚れが付着しにくい親水性を持ち、雨が汚れを洗い流すセルフクリーニング効果がある ・他の塗料と比較すると価格が高い |
ラジカル制御 | 12~15年 | ・塗膜の劣化の原因となる「ラジカル」の発生を抑える技術を採用した塗料 ・耐候性や耐久性が非常に高く、紫外線や雨風などの外的要因に強いだけでなく、汚れの付着も抑制する効果がある ・コストパフォーマンスが高い |
ナノテクノロジー | 12~15年 | ・ナノサイズの微粒子を利用して性能を向上させた塗料 ・耐候性や耐久性に優れ、紫外線や酸化による劣化を防ぐ ・住宅の外壁や屋根だけでなく、自動車や医療機器、工業設備など、さまざまな分野で使用される |
無機 | 15~20年 | ・ケイ素や酸化チタンなどの無機物を主成分とした塗料で、非常に高い耐久性と耐候性を持つ ・一般的な有機塗料に比べて耐用年数が大幅に長く、塗り替えの頻度を抑えられる ・汚れが付着しにくく、雨水で汚れを洗い流すセルフクリーニング効果を持つことが多い ・価格が高い傾向にあり、施工には専門的な技術が必要な場合もある |
防水工事のポイント
工事の種類について理解しておく
防水工事にはいくつかの種類があり、目的に合わせて使い分けることが重要です。以下では、代表的な防水工事を5つ紹介します。
代表的な防水工事 | 特徴 |
ウレタン塗膜防水 | ・液体状のウレタン樹脂を使用して防水層を形成する工法で、建物の屋上やベランダ、バルコニーなどで広く採用されている ・複雑な形状や凹凸のある箇所でも隙間なく均一な防水層を作れる ・ひび割れに強い ・新築だけでなく、既存の建物の改修工事にも適している ・硬化するまでの天候条件に制限がある |
FRP防水 | ・繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastic)を用いた防水工法で、ベランダやバルコニー、屋上など、頻繁に人が歩く場所で多く使用されている ・耐久性や防水性能に優れている ・仕上がりが美しく、トップコートで色や質感を調整できる ・施工後はメンテナンスが容易 |
塩ビシート防水 | ・塩化ビニール樹脂(塩ビ)を主成分としたシートを使用する防水工法で、建物の屋上やベランダ、工場の床などで広く採用されている ・耐久性や防水性能に優れており、軽量で扱いやすい ・シート表面が滑らかで汚れが付着しにくく、雨水で自然に汚れを流すセルフクリーニング効果を持つ場合もある |
アスファルト防水 | ・アスファルトを主成分とした防水材を使用する工法で、建物の屋上や地下構造物、駐車場などで採用される ・耐久性、防水性能、耐熱性、耐寒性に優れている ・施工時間が比較的長くなる傾向があり、費用も他の防水工法に比べて高めになる場合がある |
ポリマーセメント系防水 | ・セメントにポリマー(高分子化合物)を混ぜ合わせた防水材を使用する工法で、地下室やトンネル、水槽、浴室など、湿気や水分が多く浸透のリスクが高い場所で使用される ・複雑な形状の構造物にも対応しやすく、工期の短縮にもつながる ・耐久性や耐薬品性に優れており、劣化しにくい |